2022年8月29日、晴れ、風速1m程度。
標準コースでは鳥海山(象潟口)と並ぶ距離かつ累積標高差となる和賀岳への登山。ようやく和賀山塊周辺エリアが晴れとなり休みも取れたので楽しみに向かったのだが…。
※秋田から和賀岳に早朝から登る際はレインウェア上下・替えの靴下を持ち、可能ならば長靴に履き替えるぐらいが丁度いい。倉方を過ぎた尾根あたりから朝露を払い切れず、レインウェア無しでは薬師岳に付く頃には下半身がずぶ濡れになる。ならなくとも、和賀岳までは腰上の笹4割・膝高の草むら6割を歩くので完全防水の靴でもなければまず浸水すると思う。
というのを事前に知りたかった…というか笹藪漕ぎは下調べで把握していたが自分の想定が甘かった。勿論、その日のファーストペンギンにならないとか、朝8時ぐらいから登るならばずぶ濡れは免れるかもしれませんが、レインウェア上下と替えの靴下ぐらいは下調べ時点でわかっているなら突っ込んで置くべきでした。猛省。
初っ端からこのように書くと最悪の登山だったのでは…と思われそうですが、今年一番の最高に楽しい登山でした!。今までのゆるい登山と比べて自然を直に感じる環境で山登りに対する考えが深まった気がします。
長々書きましたが以下、山行の様子に続く。
午前2時、いつも通り出発。
みずほの里ロードから真木渓谷林道に入り最後の民家を過ぎると約6kmの未舗装の道。轍が深い所もある。小路又キャンプ場跡地の先の比較的新しい避難小屋の駐車場に朝5時到着。仕度をして歩き始める。
林道を進んだ先に標柱と甘露水。
夜中に雨が降ったのかと思わせるような朝露で濡れた草木、早速洗礼を浴びながらこれからの展開を察しつつある。登山道に横たわる倒木多数あり。
ミズヒキ、判別できなかった実、きくらげ?
登山道は退屈しないので○。
ブナ台、滝倉。
倉方、この先から尾根となりいよいよ下草が多く朝露を払うのに難儀しだす。ソックスが濡れだしたので写真を撮るのは諦め、ひとまずストックで露を払いながら薬師岳まで進むのを優先。
2時間で薬師岳山頂(1218m)。
これから歩く伸び伸びとした稜線。風衝地で積雪も多く1200mで森林限界となり高山植物が多く生えているそうだ。2枚目は真昼山地と仙北平野など、奥には神室山や月山も見えるほどの好天だった。
薬師岳ではずぶ濡れの靴やウェアを脱ぎ絞りながら呆然と25分近く居座った。正直ここで撤退もありかなーと悩むが、どうせ濡れるなら変わらないし後は稜線歩きだろうと続行を選択。スマホが濡れるのを避けるため封印し充電開始。写真撮影は朝露が乾いているであろう下山時と未来の自分に丸投げすることにした。
薬師平からも膝上の草でいくら払っても朝露を浴びまくる。ストックで払うのは無駄と思いやめたのが小杉山から先の笹薮を見た辺り。跳ね返りで目を突くような藪ではなさそう。
藪漕ぎをしている自分がおかしくなって笑いが込み上げてくる。
生まれてこの方こんなワイルドな事をしたことがない。小学生の頃に汚い川で泳いだことがあるぐらいだ。潔癖とはいかなくてもかなり綺麗好きな自分がこんな無茶苦茶な事をしているのが信じられなく既存の価値観が破壊され逆に楽しくなってくる。こういう登山もアリだなと。
もうすぐ9月になるが花はまだ沢山咲いていた。ヨツバヒヨドリと花弁が抜け落ちたチドリっぽい何か?
山頂はもうすぐ…と思ったら最後にまた藪漕ぎ。シロバナトウウチソウは多年草らしいけど多分初めて見た。
4時間で和賀岳山頂(1439m)に到着。左手前に羽後朝日岳が見える。
とりあえずウェアを脱いで少しでも水気を抜く。幸い風も弱く日差しがあり寒さを感じる事はなかった。誰もいないので周囲を気にせず休む。
西に広がる景色。真昼山地や仙北平野、歩いてきたおよそ3.5kmの稜線と白岩岳。
北側、田沢湖や秋田駒ヶ岳など。岩手山や早池峰山は雲に覆われて見えなかった。南西も遠景は雲に覆われていた。
ミヤマアキノキリンソウ、ミネウスユキソウどちらも多年草。他にも咲いていたがやはり多年草、時期を選ばないと見られるのが同じ顔ぶれになるのは仕方ないか。
9時50分、写真と休憩も済んだので下座開始。
登りで自分が朝露を払った(吸った)おかげでただ繁っているだけの藪漕ぎ、後から来る登山者も楽だったろう…。早朝から登らないのであれば撥水機能付きのウェア程度でズブ濡れになんてならない笹薮なんだろう。
小鷲倉、小杉山、薬師平で計5,6人とすれ違う。意外と登山者は多いのだろうか。
10時50分、薬師平あたりから日差しが強くなるがカロリー摂取量を見直し体力に余裕があるのか楽に歩いていける。
12時17分、甘露水口。6分ぐらい歩いて駐車場に戻る。
避難小屋側に水が流れているので泥落としには不便しない、蚊やアブはまだ元気に飛び回っている。道は草まみれだったが沢に降りて水浴びするのもありだったかも。
真木林道で見たタマゴタケと真木白滝。
真木林道を後にし角館の名店と噂のラーメン屋「自家製麺 伊藤」へ。閉店20分前だったが快く注文を受けて頂きました。飾り気のない見た目に反してしっかり旨く、堅麺の食感も飽きない。ネギもシャキシャキで香りもよく手抜きしているわけではないのが伺える。かなり個性的な一杯で人を選ぶが食べに来て損はないと断言できる。
その後は「かくのだて温泉 町宿ねこの鈴」で入浴。入り口から受付まで綺麗で、脱衣所や風呂場も十分なアメニティが揃っていた。地元の方が多く溜まり場となっている印象はあった。
帰りに寄ったモンブランスイーツ専門店「REGAL RITZ」へ行ったが午前で売り切れ…。次、仙北方面へ訪れる際は第一優先で予定を組もうと思う。ドライブイン河辺、石井スポーツ秋田と寄り道し帰宅、疲れた。
■おわりに
ある意味ボコボコにされた登山ではあったが、いまのところ今年一番楽しめた山行になった。やはり未知の状況を乗り越えれたという体験の刺激は大きい。次回はうまく対応してやろうという気分になる。
登りはペースを上げず一定で歩き続けたおかげか息もあがらず下山まで良いペースで歩けたと思う。ウェアを絞ったりする時間が計50分ぐらいあったので、普通に歩けたと仮定して今回と同様のコースレベルなら7時間でもっとゆっくり楽しむ事もできそうに感じた。
次どこに登るかは未定だが、登山に対する考えが固まってきたので今のうちに現段階のものを書き残して置きたいと思う。
・今回取ったデータはこちら
薬師岳・小杉山・小鷲倉・和賀岳 / WIQさんの和賀岳・薬師岳・高下岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ