【2023年1月4,6日】初めての雪山登山をして考えた事など

 残雪期は経験があるものの本格的な風雪ある冬山は未経験。あれこれ冬用に必要なものはリストアップしているが、現在持っているウェアでどこまで通用し何が足りていないか、雪山に対する考え方を擦り合わせるところから始める必要があると考えている。

 ということで、4日と6日に房住山にて訓練がてら確認を行った。太平山地の北部、秋田の沿岸内陸境界に位置し、多すぎず少なすぎない積雪で絶好の環境だった。

琴丘上小阿仁線 閉鎖ゲート

 

 

2日間の概要
・気温-3~0℃、風速5m以下、曇り時々雪
・琴丘上小阿仁線の閉鎖ゲート~房住館 2.2km …積雪30~50cm
・房住館~井戸下田登山口 1.9km …積雪50~70cm
・滝ノ上登山口~山頂 3.4km …積雪50~70、吹き溜まり90cm以上

 

 4日、ふかふかの雪が積もっており行動中も時折雪が降る。現状のウェアで過不足ないか、行動量は多すぎないか、雪上を歩いた際のペース確認などを行う。舗装路上り下りで8km程歩いた。

 6日、致命的な問題は無さそうなので房住山の山頂までを目標とし、無事に初雪山と登り初めをする事ができた。

 無雪季と比べペースは落ちるが概ね15km・標高差1000m程度ならばノートレースでも日帰りで歩けそうな感じはした。下山後の疲労が小さかったのは下りの踏ん張りが不要なので余力を残せているのだろうと思った。某所の山荘管理人によると雪が多かったり吹雪いたりで片道3倍かかったという話もあるので時間だけは余裕を持たせたい。

房住館
房住山荘

 

 2日間の演習で気になった事などを以下に続けていく。

クロージングに関して

【今回使用したウェア】

使用している雪山ウェア

 アウターシェルは防風できれば「取り敢えず可」と今の所考えている。レインダンサーはパンツこそしなやかだがジャケットは結構ゴワゴワなのでmont-bellのレインウェアではストームクルーザーに次いで雪山適正があると思っている。

 ベースレイヤーに着ているスーパーメリノウールM.W.はオーバーヒートせず丁度よい保温性がある。トレールアクションJKTとの相性もよく蒸れずに余計な水分を放出してくれている。

 問題があったのは停滞時の太腿の冷え。ボトムのミドルに保温性がないので外気で冷えたレインウェアが当たり、指先足先よりも冷えが早くここから体温が奪われているように感じた。パンツにトレールアクションは見た目の関係であまり着たくないので、オーバシェル無しでもいけるデザインで保温性があり濡れにくいものを用意したいと思う。

 

【他身に着けている物】

クロージング2

 このあたりは改善の余地が多い。というか揃えきれていない。

 まずネックゲイターが必要だと感じた。4日はネックゲイター無しで歩いたが首から体温がガンガン奪われているのを実感できていた。6日はジオラインバラクラバで代用したが丁度よい薄さで保温も効いていた、ただし元がバラクラバなので着用感はよくない。

 インナーグローブはウィックロンGEOサーマルでかなり優秀。多少雪に濡れても化繊なのですぐ乾いてくれる。自分は末端も血が巡り温まるタイプなのでこの手袋はベスト、22年春に買った物だが今更評価された。強風や停滞時には弱いがそこはこまめに調整すべき所だろう。

 一方で保温や保温+防滴のグローブは用意できていない。極限環境では3枚重ねるのが普通らしいがいまいち感覚がわからない、今回の演習でもインナーにオーバーの着脱でほぼ問題ない環境。だが停滞時にインナーの上に付ける保温グローブは必要であると感じた。

 ブーツ・ソックスについては保温材入り冬靴じゃないので評価がし辛い。一応ライトアルパインブーツを使用して2日間の行動中足先に濡れも冷えもなかった。停滞時しばらくしてようやく冷えてきたなと感じた程度。だがこれは比較的ゆるい環境下の話であって-10℃ともなれば流石にまずいだろう。取り敢えずソックスも極厚のものを用意したい。

 クロコゲイターはOutdoor Researchの名作と言われるだけあって完璧だった。

 

その他ギアなど

その他のギア

 スノーシューはTUBBSのFLEX ALP 25。これはMSR・ATLAS・TSLなどの中から悩みに悩んで決めた。最終候補に残ったライトニングアッセントは値上げが異常なのと凹凸あるフィールドに弱そう、ヘリウムBCはクランポンが貧弱そうという理由で弾いた。

 ただFLEX ALPも明確な欠点があり、数あるモデルの中でもペア2kgを越えバインディングが嵩張るので携行性が悪いという2点が挙げられる。実際の使用においては重量は気にならず携行性はなんとかなる…ように思われる。

 良い部分はやはり足の前半分をカバーしてくれるクランポン、踏み出す際によく噛んで多少クラストしているような雪面にも期待できる。そしてホワイトを用いた配色もありがちな黒灰赤や蛍光カラーと差別化でき所有欲が満たされる。

 注意点として、靴のサイズが44だと余ったベルトをかけるホルダーにベルト端が綺麗に収まらなくなる。絶妙に届かないので端をブラブラさせる事になってしまう一段キツめに絞れば綺麗に収まる)。これが原因で外れたり雪が絡んだりとはならないが気分に影響が出るので一応報告しておく。BOAフィットシステムのモデルもあるが個人的に信頼ならないので選ばなかったものの抵抗がなければそちらをお勧めする。

 もう1点、テール部分のスパイクでデッキがかなり傷つきやすい。予想通りだったとはいえ他の商品でも避けられない事だと思うので仕方ないと思っているが…写真のように20km歩いただけでかなりの傷、大人のアウトドア用玩具として割り切るしかない。足元のギアの傷や汚れは受け入れ、なるだけ手入れだけは怠らないようにしたい。

FLEX ALP クランポン
FLEX ALP 傷

 アイゼンはどちらも出番なし。登攀レベルの雪山でなければどのブランドもそこまで違いは出ないだろう。爪に返しやギザギザがあるものも有るが取り出す時や保管で無駄にひっかける要因になるのを危惧してPETZLバサックを選んだ。購入前の靴との合わせも問題なし。

 ストックは22年春に買ったカムロック式、スノーバスケット付き。重量は気にしていないので特に不満もない。折りたたみと違って分解して洗いやすいのが自分に合っていた。

 ザックは冬用あるいは45L前後が早急に必要と感じている。リストを見てもらえばわかるが両極端な容量しか持っていない。25Lではギリギリ、60Lでは余裕あるが単純に場違い感が凄まじい。

 リストに載っていないが保温ボトルも必須に思った。行動中は冷えた飲み物でもいいがたまに温かいものも口にしたくなる。行動食を食べた後に口を濯ぐ際に冷たいのも結構気になった。長い休憩でお茶でも淹れておけば帰りにも使えるだろうし利便性は高そうなのでこれも買っておきたい。

 

おわりに

 自分の性格上、やってみて不足を感じた部分を補うのが無駄のないやり方と考えているので、色々と粗が多い2日間ではあったがその分改善点は多く見つけられた。日帰りでいけそうな環境・距離・標高のおおよそもわかったのでこの冬登る山選びの基準にしたい。東北は3月まで殆ど天気は良くならないので落ち着いたら取り敢えず何処か登るという気持ちでいたいと思う。